【3行要約】
・大手金融のDE&Iレポートを「マンガ」で刷新し、社員9割ポジティブという結果を出した実例です。
・好奇心を起こす問い/ナナメ上の発想/盤石なプロマネという3つの仕掛けで、いつものレポート制作を創造的な仕事に変えました。
・どんな仕事にも取り入れられる「目の前の仕事を創造的に変える3つの実践メソッド」と、体験セッションの案内をまとめています。
※この記事は、2025年に行われたオンラインセミナーを再構成したものです。登壇者の発言を中心に、当日のエッセンスをお届けします。
登壇者:
藤本海(かい):ファシリテーター
長縄美紀(みっきー):クリエイティブディレクター
稲村健夫(いな):イマココラボ共同代表
大手金融グループのDE&Iレポートで「マンガ」にチャレンジ
かい 皆さん、こんにちは!今回のセミナーでは、サステナビリティや DE&Iといったテーマの社内外への浸透を、クリエイティブに、そして楽しく、仕事のクオリティを上げながら実現する、その具体的な事例をご紹介していきます。
みっきー お客様は大手金融会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券会社様のダイバーシティ推進室。「ダイバーシティレポート」の作成のお仕事をイマココラボが担当しました。ご相談の背景には、「DE&Iの取り組みを社内外に発信しているが、もっと関心を持つ人を増やしたい」という強い想いがありました。
かい 大企業ではサステナビリティやDE&Iについての定期刊行物をつくりますよね。
みっきー 今回チャレンジしてみたのは、……マンガです!
かい おお、マンガ!実際、どんなものができたんですか?

DE&Iレポート全体はこちら(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のサイトが開きます)
かい この類の制作物って制作期間がタイトなことも多いし、どうやって実現したんですか?
みっきー 「納期は実質2ヶ月だし、早くまとめなきゃ」と私も一瞬思ったんですが、今回お客様が「新しいことがしたい!」って声をかけてくださったので、モードチェンジしたらすごく仕事が面白くって。「いつもの仕事をどうしたら創造的に変えることができるのか」に、すごく示唆があったなと。そのポイントを、お伝えしたいと思います。
いつもの仕事を「創造的」に変えた3つのミーティングの工夫
みっきー 通常、レポート作成のプロセスは、要件整理、初回ミーティング、企画構成、シナリオ作成、デザイン、校正、完成というオーソドックスな流れをたどります。

しかし時間的制約があると、発想が広がらない、外注(制作会社)との意図がずれる、修正回数が重なる、社内共有も大変になる、といった「あるあるお悩み」が発生しがちです。
そこで、今回はプロセス自体を大きく変えるのではなく、ミーティングの進め方に工夫を取り入れました。
1. 初回ミーティングの工夫:「人」にフォーカスする
みっきー 初回のミーティングで、私たちはまず「お互いの人となりや想いを聞き合い、関係性を耕す」ことから始めました。要件やゴールを聞くのはもちろんですが、その奥にある「この人(お客様)はどんな人なんだろう?」「どんな想いでこの仕事をしようとしているんだろう?」という個人の想いに興味があったんです。

みっきー また、この想いを引き出すために、初回ミーティングではもう一つ工夫をしました。
【好奇心と探求心のアクティベート:グラレコの活用】
会議の場で、模造紙に想いをリアルタイムで書き起こし、見える化する、グラフィックレコーディング(グラレコ)を実施しました。
いな グラレコを通じて、参加者が「DE&Iというテーマに対して、自分自身は何を感じて日々生活しているのか?」といった、普段立ち止まって考えないような問いに対して、素直に自分のリアリティや本音を共有していきました。仕事の役割を超えて、本当の好奇心や探求心をアクティベート(活性化)できたのが大きいです。

2. 安心して「飛べる」土台を作る:盤石のプロマネ
みっきー しかし、ただ対話に時間を割くだけでは「本題は?」と不安になりますよね。だからこそ、発想を飛ばす前に、通常の予算、スケジュール、進め方をしっかりと確認するパートを冒頭20分間でやりました。一見無駄かもしれない話をするには、盤石としたプロジェクトマネジメント(プロマネ)があって初めて、みんなが安心して飛べるんです。
かい なるほど!スケジュールが見えないのに色々と聞かれても不安になりますが、クリエイティブに発想できるスペースを作ったわけですね。

3. 場所と問いを変えて、発想を非連続にする
みっきー さらに2回目・3回目のミーティングでは、「お誘い」をしました。お客様のオフィスではなく、イマココラボのワークショップスペースに来ませんか?と。

みっきー 効率を重視すると、自分の会社の中で会議をやるのが当たり前になりますが、あえて「役割から一旦離れやすい場所」で発想しませんか、と提案しブレストミーティングをしました。
いな 「読み手の人に自分ごとになって欲しい」「説教っぽくならないように伝えたい」「無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)に気づくきっかけを与えたい」…
アイデアを出し合う中で、「コジコジのようなキャラクターが、本質的な問いをポッとつぶやくのとか、どう?」「それだ!」となって。読み手に気づきを与える妖精「トイトイ」(冊子の中の漫画に登場するキャラクター)の誕生につながりました。


かい この写真、なんだか楽しげですね笑。
みっきー 3回目のミーティングが終わった時の様子ですね。
デザイナーもその場でアイデアをラフスケッチに起こすようにしています。そうすると、「おお、それ、いいですね!」ってその場でなりますし。想いを共有しながら、あるものが形として生まれる。その瞬間ってよろこびでしかないなぁと。
成果:社内から反響大、アンケートの約9割がポジティブ回答
みっきー このプロセスを経た結果、予想を上回る成果が出ました。
- アンケート回答の約9割が「大変参考になった」「参考になった」というポジティブな回答。
- アンケート以外でも個別の感想コメントが届くなど、反響大。
- フリーコメントで「漫画がすごく分かりやすかった」という声が多数。
- 上司からの手直し(直し)は、ほぼゼロ。
- 一緒に作ったプロセスに参加したことで、結果的に効率が良かったという評価。
- クライアントからは「論理の積み上げだけではない、非連続な発想が生まれるのが面白かった」という声や、「部下が仕事が楽しいというようになりました」という感謝の声まで届いた。
いな こなす仕事ではなく、本当にしっかりやり込んだ仕事だったからこそ、当事者が楽しかったり、上司から見ても成長したと感じられる結果になったのだと思います。
創造的な仕事をする3つの実践メソッド
みっきー さて、この事例にも出てきましたが、普段から私たちが仕事をする時に取り入れている「目の前の仕事を創造的な仕事に変えるための実践メソッド」を3つご紹介します。

1.好奇心と探求のアクティベート
みっきー まず仕事にとりかかる前に、自分自身の内側にある思いに火をつける問いかけをします。

みっきー プロジェクトや仕事をはじめる起点として、これをやる。もちろん最初は、「組織人として、求められるゴールは?」を置くことも大切。でも、本当にそれだけかな?と。自分自身は、どんな気持ちを持っているんだっけ?と。それをまず出してみることです。
いな まず自分ひとりからでもこれをやるといいです。チームリーダーの方は、この問いをチームで投げかけてプロジェクトをはじめると、全然違う質感の仕事になると思います。
2.ナナメ上の発想を引き出す問い
みっきー つづいて2つ目。日常の常識や視点からあえて軸をずらし、新しい発想を引き出すための「問いかけ」をします。

いな 問いを使って意図的に視座を変えることで、普段とは違う発想をし、答えを導き出すことができます。
3.盤石のプロジェクトマネジメント
みっきー 3つ目に、クリエイティブな発想をするための「余白」を意図的にスケジュールに組み込みます。
- 安心できる余白をデザインする: タイトなスケジュールであっても、「ここは発想できる時間だ」と意識しながらプロセスをデザインする。
- To Doで埋めるのではなく、余白を先に確保する。

みっきー 私たち自身も社内で「仕事ってそもそも何?」「このチームでこういう仕事やっていきたいね」とアクティベートするインナーミーティングの時間を意図的に入れるようにしています。
さあ、仕事を冒険にアップデートしよう
みっきー 今日の3つのメソッド(好奇心のアクティベート、ナナメ上を引き出す問い、磐石のプロマネ)をぜひ明日から試してみてください。目の前の仕事が、きっとあなた自身の「冒険」の一部に変わっていくはずです。
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